種なし 完全甘柿 『秋王(あきおう)』
世界初「種なし完全甘柿」の開発に成功
種なし 完全甘柿
『秋王(あきおう)』

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種なし 完全甘柿品種 として
福岡県農林試験場が開発した『秋王(あきおう)』
『秋王(あきおう)』は脱渋の必要がなく、種を取る必要もない=種なし完全甘柿 として開発された。
柿は「甘渋性(あましぶせい)」によって4つに分類される。
完全渋柿、不完全渋柿、完全甘柿、不完全甘柿。
全体の6割が渋柿、4割が甘柿。そもそも甘柿は渋柿に対して潜性(劣性)遺伝のため 完全甘柿品種は全体の1割にも満たない。
さらに種がない完全甘柿として品種開発されたのは世界初。
種がないため、水平に包丁を入れてもすっと切ることができ、手軽に甘柿を楽しめる。
※花粉にX線を照射する等の手を加えた種なし完全甘柿を作る技術はあったものの
通常の栽培方法で育つ 種なし完全甘柿品種が開発されたのは世界初
※自然物のためごく稀に種が入ることもあります
甘柿の王様「富有柿」を上回る濃厚な甘さ。

秋王は富有柿×太秋柿の掛け合わせから誕生した。それぞれの良さを上手に引き継いでいる。
特筆すべきは甘さ。甘柿の王様といわれる富有柿超えの糖度17度を上回る。
(富有柿は一般的に15〜16度といわれる)糖組成上、ショ糖を多く含み
濃厚な甘さを感じる。
また、太秋柿のサクサクとした食感を引き継いでいる。甘さは濃厚でありながら、軽やかでしつこさがない。
甘柿の名産地として次の時代を担う柿をつくる
福岡県は柿の生産量全国第3位。
筑後川下流域の田主丸、朝倉、杷木、浮羽は甘柿の名産地として知られる。
もともと米・麦の 二毛作が伝統的に行われてきた地域であったが、
麦作や菜種の減少とともに兼業化が進み、減反政策下では水田転作の永年作物として
主に柿が選択された。転作は続き、1980年には筑後川中流域の柿栽培面積が1496haに達するなど一大産地を形成した。
完全甘柿は、暖地(岐阜県以西)でのみ完全な甘柿となる。
福岡県は最南端主要産地として、甘柿(主に富有柿)の生産に特化した。
降霜が遅いことから収穫時期をおくらせて市場出荷し高単価・高評価することで
全国有数の名産地となった。
しかし、1985年以降は作付面積、収穫量ともに減少。
大きな要因は従事者の高齢化とフルーツ消費量の減少。
特に全国の柿は2020年までの15年間で作付面積が21.3%の減少幅となる。
そこで福岡県は“種がなく食べやすい”など近年の消費者嗜好に合った独自品種の開発を目指した。同時に産地の活性化、生産者の所得向上も目指す。
世界でも類を見ない手法、
不完全種子から結実させる
種のない柿「平核無」に種がない理由については長い間不明だった。
しかし、1990年に京都府立大学のグループによって原因が解明された。
それは、染色体の倍数性が奇数の九倍体であるということ。
富有柿などの種がある通常の甘柿の染色体は六倍体。九倍体の完全甘ガキを育成するためには甘ガキ同士の交配が必要だった。
しかし、柿の甘渋性の遺伝に関して甘ガキは渋ガキに対して潜性(劣性)。
そこで交雑した種子にわずかに混在するしいな状の不完全種子を培養することで
九倍体の実生を作出した。これは世界でも例をみない方法であった。
1割にも満たない確立で発生する、しいな種子を培養する、
具体的には「富有」の雌花に「太秋」の花粉を交雑し、 80日後に総種子数の6.7%程度得られる不完全種子を胚培養。 そこから得られる実生の一部が九倍体となる。

つまり、1割にも満たない確立で発生する、しいな種子(=発芽能力をもたない種子)を培養する、という途方もない研究だった。種子が培養できても、発根や圃場に植え付けるまでにも困難が伴った。 それでも、果樹育種にかかる年月としては、決して長くはない9年で福岡県農林試験場は品種化に成功した。
食べやすさ、美味しさともにまさに秋の王様

長年、富有柿栽培をしている農家も「一度秋王を食べたら、これしか食べられなくなる」と話す。
その甘さと万人に好まれる食感とで、市場での期待値も非常に高い。
欠点があるとすれば九倍体ゆえの結実性の悪さ、生理落下が生じること。食味には影響がないが、外観にキズが付きやすい点もある。現在は生産現場にバトンが渡り、栽培技術の向上に県下全体で取り組んでいる。


苗木の普及が進み、樹齢が経つとともに栽培技術も確立すれば 今後、甘柿の王様の座をとってかわる品種になること間違いない。 現状は生産量が限られ、全国でも3市場のみに流通する。 入手ルートが限られる完全限定の一品であるが、 その美味しさにいち早く触れてほしい。
食文化 鈴木愛理