甘柿の祖先
t幻の御所柿

その昔、日本には甘柿は無かった。
室町後期、奈良の御所の地で、
甘い柿が突然変異で生まれ、
御所柿と名付けられ、
その名を全国に轟かせた。
『御所柿なくば、日本の甘柿なし』
だったかもしれない。
一時は絶滅の危機に瀕した御所

樹上で完熟すると、手で割ることができ、その食味イメージは羊羹のように例えられる御所柿は、絹のような食感と和三盆を思わせる甘さで、最上級の柿と讃えられてきた。
一方で、栽培面では、病害虫に弱く、収穫量が少ないこと、さらに、富有などの新しい品種よりも形や大きさ、外観が劣る為、そのほとんど全てが切られ、数本が残るだけの幻の柿となってしまった。
平成22年から、地元の柿生産者達が中心となり、五百年とも言われる歴史を持つ御所柿が復活の道を歩み出した。
宮中や将軍家へ献上されていた
御所柿

江戸時代の「本朝食鑑(1695年)」や「和漢三才図会(1712年)」に、宮中への献上記録が残っている。
まさに、究極の柿と言っても過言ではない。
確かに見た目は良くないが、まさに羊羹のような肉質と味になるのは、御所柿だけの特徴と言われている。
俳人・正岡子規の名句「柿食えば、鐘が鳴るなり 法隆寺」の原体験と言われる記述が、ほととぎす(第四巻・第七号)の中に、『御所柿を食ひし事』と題して残されている。
明治二十八年の秋、對山楼に宿泊した際、柿を食べていたら、東大寺の鐘がボーンと鳴ったと書かれている。
まさに、歴史に刻まれ、歴史を彩る人々が食して感動したのが御所柿と言える。
本御所に加えて、藤原御所・米田御所・
天神御所・花御所
のうち
2種類を
選果して出荷いたします。

【本御所】
御所柿は奈良県御所(ごせ)市の原産で、甘柿のルーツとも言われる柿で、「五所柿」や「やまとがき」、「ひらがき」とも呼ばれています。小ぶりながらとても甘い柿です。糖度が17〜20度と高く粘り気のある肉質で、褐斑はあまり見られません。ちょっとした環境の変化などで落果しやすく、栽培が難しい品種です。現在では奈良に僅かに残っている木から収穫され、近年、復興に向けて栽培に取り組んでいます。糖度は果実赤道部で19〜23度ありました。富有(約16度)に比べても明らかに高く、独特の強い甘みを感じさせてくれます。
【米田御所】
御所市南郷の米田氏の畑に原木が有る御所柿の一系統。晩生の柿で、熟度が少し足りないと果実によっては渋が少し口に残ります。肉質緻密で褐斑が殆ど無く、品質優良ですが、成熟すると果頂部に黒変を生じ、そこから軟化する欠点があります。優良な品質で雄花ができるため、育種親としても利用され、「新秋」「早秋」「甘秋」などの新品種にその血が受け継がれています。
【藤原御所】
奈良県奈良市藤原町が原産の完全甘柿で、1960
年代までの奈良県の主要品種でした。江戸時代に誕生したとされる御所柿の代表品種です。肉質は緻密で甘み強く、多汁の品質優れた柿です。外観も比較的整っており、御所柿の中では見栄えの良い柿でもあります。御所よりも豊産で作りやすい柿ですが、よく熟さないと渋残りする御所柿特有の欠点を、この品種も継承しています。
【天神御所】
天神御所柿は、明治30年代、大正天皇が岐阜県にお成りになられた際に、献上された柿で、その際に初めて世に知られた柿とされています。
その後、いつの間にか県下の柿は、富有柿に取って代わられ天神御所柿は姿を減らしていったそうです。 現在岐阜県にその原木が残っており、樹齢は推定200年とされております。
その特徴として非常に早く美しい色が乗り、果肉は淡紅、甘味は多くやや硬く種子の数は少ないです。初秋一見して味覚をそそられますが、甘くなるのに十分に待つ為、樹上で完熟させる必要があります。
【花御所】
鳥取県八頭郡郡家町が原産の完全甘柿の品種です。今から約 210 年ほど前に郡家町「花」の農民・野田五郎助という人が大和の国(現在の奈良県)から「御所柿」の枝を持ち帰って、渋柿に接木したのが始まりといわれています。
御所柿の食べごろは、
果皮の色ではなく、
果肉の柔らかさで見極めます。

完熟の一歩手前で発送しておりますので、商品がお客様の手元に届く頃には、少し軟らかくなっているものもございます。 御所柿の系統の品種は、完熟のものが最もおいしいためです。完熟前の収穫だと、ほのかに渋が残ることもあるため、可能な限り熟してから収穫しています。予めご了承ください。
柿の食べごろについて
常温保存で、皮にシワが寄りはじめ、手で割れるほど熟した頃に食べてください。 この瞬間を逃すと、あっという間に果肉がとろけてしまいます。柿の頭頂部からヘタの部分まで観察しながらお待ちください。食べごろの御所柿は、冷やしても十分に甘さを感じます。 地元の奈良でも、そのまま食べる方、冷やしてから食べる方、好みが分かれるため、どちらもおすすめです。
1.ナイフでヘタを取り除きます
2.手で割ります
3.スプーンですくっていただきます
神から与えられた食物『 柿 』

柿の学名「ディオスピーロス・カキ」のディオスピーロスとは、神から与えられた食物という意味。
古来より、漢方薬として重用され、日本でも民間薬として用いられてきた柿は、タンニンやβークリプトキサンチンやビタミンCが豊富に含まれ、身体をケアする能力が高い果物と言える。
宮中の都人や戦国武将や将軍に食されていたであろう御所柿。
幻の美味柿は何としても食べたいものである。
手で割れて、羊羹のような柿。
想像しただけで、わくわくする。おまけに、身体にも良さそうとくれば見た目なんかどうでも良い。
そう思えるくらいの値打ちを感じさせるのが、御所柿である。
(株)食文化 代表 萩原章史











