熊本県
持丸園のみかん
熊本県の和水町は、熊本県北西部、福岡県との県境に位置します。この土地で100年続く生産者が「持丸園」です。水はけがよい山の園地で、10haの広大な園地を管理しています。
熊本県のみかん産地は、北部の金峰山周辺と宇土半島が特に有名な産地で、海沿いの温暖な沿岸気候は冬でも気温がマイナスになることは少なく、県内でも有数のみかん産地が形成されています。
対して、持丸園がある和水町は、海から遠く内陸性の盆地です。夏は暑く40℃近くまで気温が上がりますが、冬は-10℃まで下がる土地です。
昼夜の寒暖差は大きく、標高が高い山間部なので着色・味に優れる特徴があります。近年は減りましたが、台風も多い土地なので山間部の園地は、風の害を受けにくい点でも良い点です。
反面、冬の最低気温がみかん・柑橘にとっては厳しい土地でもあります。熊本県の一大産業であるデコポンの栽培は難しく、みかんは寒波の備える必要があります。
豊かな自然や清らかな水に恵まれ、米づくりも盛んな地域です。
撮影 2026/10/19
大好きなみかんを「もっとおいしく、
たくさん作りたい!」
約2万本のみかんの木が出迎えてくれます。
山の斜面に広がる、急こう配の園地。作業しやすいように舗装して、少人数でも手をかけられるように工夫されています。日当たりも素晴らしいです。
持丸園4代目にあたる専務の竜也さん。
写真の園地は、現代表である周二さん(竜也さんのお父様)が20年ほど前に重機で2メートル掘って造園しました。
持丸園のみかんは、熟度を高めて収穫するので、酸は少なめ。まろやかでコクのあるみかんです。
みかんの味をよくするためには、水切りが大切。根から水が抜けやすいように、工夫がされています。 みかんに付着する白い粉は、浮皮防止のカルシウム剤。収穫まで大切に管理します。
狭い山道を登っていくと、突然ひらけた場所が現れ、広大なみかん畑が目の前に現れました。東南向きの日当たりの良い園地は10月の中旬にも関わらず、みかんは美しく着色しています。
和水町のみかんは、みかんバブルが崩壊し価格が低迷した2000年代の中盤に、栽培をやめる人が多く出ました。持丸園の代表を務める持丸周二さんは、元々持っていた2haの園地を拡大し、10haの広大な面積を持つまでになりました。価格が低迷するということは、どんなに頑張って作っても、報われないことを意味します。
「これ以上は無理だ」と、先祖代々の大切な土地をあきらめなければならない人がいる中、辞めずに園地を増やす選択ができる人は特別な人です。
大好きなみかんを「もっとおいしく、もっとたくさん作りたい!」という、周二さんの情熱がなせた業ともいえます。
熊本県が生み出した
みかんを中心に栽培
まず食べてほしい品種が
「肥のあけぼの」です。
持丸竜也さんにお話を伺いました。竜也さんは、高校を卒業後、種苗会社の専門学校へ行き、家業である持丸園で就農します。幼いころから祖父と父を見て育ち、いずれ持丸園を継ぐであろうことを感じていたと言います。
熊本県は全国有数のみかん産地。
持丸園は「肥のさやか」「肥のあけぼの」「肥のあすか」など、熊本県が開発した品種を中心に品種リレーをしていきます。
いずれも優秀な品種ですが、竜也さんのオススメは、
「特に肥のあけぼのが一押しです。このみかんを食べて気に入ったら、持丸園のほかのみかんも、是非お試しください。」と言います。
「肥のあけぼの」は、熊本県で育種され、1983年登録された極早生みかんの代表。各県とも、この品種を越えることを育種目標にした程、良くできた品種です。本来は10月中旬〜下旬頃から収穫される品種ですが、持丸園では11月になって味が乗ってからから収穫します。
完熟した際の味わいは素晴らしく、じょうのう膜(内皮)が薄く口の中で消えてなくなるような食味で、糖度の高さと果汁の多さも申し分ありません。
完熟するまでしっかり待つ
“果物であり嗜好品であるみかんは、
おいしくなければならない”
持丸園がみかん栽培で第一に掲げる信条です。収穫は、完熟するまで待つため、同じ品種が一般的に店頭に並ぶ時期よりも2〜3週間ほど遅くなります。青果物の販売は、一般的に早くに出した方が販売は有利です。しかし、早すぎると酸が強く、旨味も乗りきりません。
持丸園のように自分の名前でみかんを販売する生産者は、そこをぐっとこらえて、自分たちが自信をもって「一番良い状態だ」と判断した時に収穫するのです。日持ちしにくくなりますが、味わいは明らかに上がります。品種の味を最大限引き出したものをお届けします。
持丸園の栽培のこだわり
◎根が張りやすい土づくり
土づくりのための肥料は天然由来の有機肥料を発酵させ、吸収しやすい状態にして施します。みかん樹の生育ステージに合わせて、欲しがる時必要な量を与えることが大切です。
◎最大限の日光を浴びさせる
光合成の能力を最大限に高めることが、みかん栽培最大の仕事です。
◎果実の有効成分を高める
みかんの果実が含んでいる、健康に良い成分をより高めるために、天然の資材、特に海で育った海藻のエキスや青魚の有効成分エキスを与えることにより、甘くてコクのある健康に寄与する高品質みかんに仕上げています。
文・ 赤羽冬彦











