米水人神 100%地護酒 竹の露酒造場の「白露垂珠」

東北の霊場として名高い出羽三山。羽黒山、月山、湯殿山の総称で明治時代までは神仏習合の権現を祀る修験道の山であり、それぞれに神社が祀られていますが、その中心は三神合祭殿のある羽黒山。時の政府の神仏分離令に真っ向から抵抗したのはこの羽黒山の修験僧たちでした。
今では稲倉魂命を祀る神山となっており、往時を偲ばせるのは文化財保存のために破壊を免れた五重塔だけですが、飛鳥時代の開山以来の羽黒派古修験道は継承され、羽黒山をはじめ出羽三山に寄せる信仰は今に息づいています。
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出羽三山の神々に抱かれし白露垂珠 その羽黒山のふもとに構える竹の露酒造場もその前身は彼ら修験僧の年中行事に酒を醸す造り酒屋の1つ。安政五年(1858年)現地北西方に金野岩治が創業。慶応年間に杜氏を務めていた金野松治郎が現地に酒屋を引継ぎ、大正十三年に竹の露合資会社として法人化されました。羽黒山の頂上には三神合祭殿が頂上へ続く参道の途中には国宝・五重塔
地物の酒を醸す「地賛地匠」の蔵
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竹の露で使われる米は全て地元産。蔵元製造責任者・相沢政男さん、杜氏・本木勝美さんをはじめ、羽黒酒米研究部会員の方々により供給されています。現在作付している品種は、「美山錦」、「出羽燦々」、「改良信交」、様々な酒米はもちろんつや姫のルーツでもある「亀ノ尾」、さらには「亀ノ尾」と「新山田穂」の人工交配(日本初)により誕生した、いわゆる工藤吉朗兵衛の酒米三部作の一つ「京ノ華」、純米用山形オリジナル酒米「出羽の里」、そして醸造用山形オリジナル最新酒米「出羽きらり」の7種類に及びます。
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仕込み水は蔵の敷地内、地下300mの石英質砂礫地層から湧出する天然弱アルカリ・完全無菌・超軟水「出羽三山深層水」を活性のあるままに使用しています。
この地の水をめぐる歴史的変遷から、かつては水道水に頼らざるを得ない時代もありましたが、周辺の温泉の掘削事業での地層調査から自らの土地にも同じ石英質に磨かれた水があるのではと大博打を打ち、2000万円という巨費を投じ掘り進めること300m。
ついに湧き出た水は温度22度。あと3度高かったら、温泉法により温泉の扱いとなってしまい風呂屋に転身せざるを得ない所でした!?
窓を開け放ち寒風で冷却される仕込み水。
竹の露は熱を加えていない生の水を充填し販売できる、清涼飲料水製造の許可を保健所から得ている日本で唯一の酒蔵です。
掘削の様子や地層のサンプル、地質図短冊に書かれているのは収穫年と米の品種。
歴代の酒米の稲わらが吊るされています。
伝承される人の技術と最新の化学
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米の品種ごとや季節限定酒など様々な銘柄を持つ「白露垂珠」ブランドは、全て「一升盛麹蓋法」で製麹されます。
一般的には蒸米を大きな台に広げ、まとめて麹菌を振って糖化を促しますが、竹の露では「麹蓋」と呼ばれる箱にも蓋にもなる杉の小箱に1升ずつ蒸米を盛り、麹米を作ります。
この作業を行う麹室(こうじむろ)も全て杉材で出来ており乾湿差の取れた最適な環境を生み出しており、作業に関係ない者は室に入ることすら許されません。
引き込みから床もみ・切返し・盛り・仲仕事・仕舞仕事・積替え・出麹まで二昼夜半、14人の蔵人が交代で務め、昼間であろうと深夜であろうと麹米にとって最適な時間きっかりに全ての作業が完遂されます。
こうして出来上がる麹はムラがなく、菌糸が米の表面よりも内部に繁殖し狙い通りの突き破精型になります。この麹こそが白露垂珠の豊かな旨みとキレの良さというある意味で相反する要素の両立の基になっているのです。
一方で白露垂珠を支えるのはこうした伝統的な技法だけではありません。相沢政男さんとお話ししていると、様々な数値がポンポンと出て来ます。発酵過程や完成時の酸度や日本酒度、アルコール度数といった分析値はもちろん、米を蒸すのに最適な気圧やそのために必要な元のボイラーの気圧、エネルギー効率、米の洗米時間や水圧、最適な吸水率・・・様々な数値が非常に細かい単位で飛び交います。これらは化学的根拠だけでなく経験則によるものも含まれますが、決して「勘」のようなある種の不確かなものではなく、確かな実績という裏付けのあるものです。一升ずつ作られる麹。
ガラス張りの窓から見学です。大手の悪の代名詞のように語られる連続式蒸米機ですが、
○○・△△さんが何年もかけて改良を重ね、
少量多品種仕込みという竹の露用にカスタマイズされています。
日によっては3品種も4品種も蒸すこともありますが、
これにより蒸米が混じることなく、そして全くムラなく蒸し上げることができます。
初めてお会いした時に政男さんは日本酒を造るうえで重要な要素を順に米、水、人、そして神様と挙げてくれましたが、米と水という自然の産物を人が超えることはできません。人ができるのは自然と対話し叡智を持って語りかけることでいかに多くの恵みを引き出すか。相沢さんをはじめ竹の露酒造場の皆が地元の米、水で醸す白露垂珠は、そうした営みを通して羽黒の神様のご加護に抱かれたお酒です。
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株式会社食文化 小林乙彦

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