豊洲市場ドットコム
令和3年の山形佐藤錦
現状を皆様にお知らせいたします。
豊洲市場ドットコムの八下田です。
毎年皆様に10,000箱以上を出荷している、当店の人気商品「山形県産 佐藤錦」に、今年、大きな異変が起こっています。
私たちは山形の生産者さんたちと共にこの危機的な年を乗り切り、来年も生産を続けていけるように小売店としてできることを実施することにしました。
お客様には大変申し訳ない思いながら、今後の販売について『値上げ』に踏み切ります。
産地の皆様に状況をヒアリングし、公的な情報にも確認を取りながらレポートを作成しました。
どうかご一読していただければと思います。
異常な花の咲き方をする
令和3年
本来さくらんぼの赤ちゃんができ始める5月1日に、満開の花が咲いていました。
一見きれいな花ですが、この花は受粉しません。
さくらんぼの実にならないのです。
その原因は4月に産地を襲った3回の寒波。
花が咲いたばかりの佐藤錦の樹に霜が降り、めしべが極度に冷やされた影響で
「枯死」という結実の機能を失った状態になってしまったのです。
佐藤錦は自家受粉、つまり自分の花粉では受粉しません。
佐藤錦の圃場にはナポレオンなどの授粉用のさくらんぼの樹が植えてあるのですが、
その花が咲き終わっても花が付き続けていることは本当に異常です。
受粉を確認することで佐藤錦の花は花びらを落とします。
つまり受粉ができず、花を落としたくても落とせない。
そんな状態に至っていたのです。
こちらをご覧ください。
例年であればよい実に栄養を集中させるため摘果をします。
しかし、今年は摘果ができる状態ではない樹が多いと言います。
山側・平地など、環境や場所によって程度は違うのですが、
5月27日に発表された山形県農林水産部の調査によると、
今シーズンの予想収穫量は9,500トンほどで、平年収穫量の68%になると発表されました。
1万トン未満となるのは、県が統計を取り始めた1996年以降初めての事です。
我々は10年以上にわたり産地の生産者さん・流通業者さんと共に美味しい佐藤錦をお送りしてきました。
かつてない状況に対して私たちができることは、買取価格を高めることで、生産にかけた農家さんのコストを少しでもフォローすることです。
それに対し販売価格も値上げせざるを得ない状況ですが、来年も再来年も、佐藤錦を作り続けていただけるように、我々もフェアな取引を目指したいと思う次第です。
例年は現地に泊まり込んで佐藤錦を出荷してきた我々ですが、昨年・今年はコロナの影響で断念をしています。
近くに行けないからこそ、産地に寄り添うためにはこのような方法が一番だと判断をしております。
その代わり、良い品質の佐藤錦を集めてもらえることを、産地の皆さんと約束しております。
どうか、今回の対応に、理解していただけますようお願いいたします。