300日の長期肥育が生み出す美味しさ
熊本県あさぎり町
「球磨の黒豚」
熊本県南部、人吉球磨盆地に位置するあさぎり町。
ここで育てられているのが、四肢の先、鼻先、しっぽの先の6か所が白いことから「六白黒豚」と呼ばれるバークシャー種、「球磨の黒豚」です。
一般的な豚が生後約6か月で出荷されるのに対し、球磨の黒豚は約1年もの時間をかけて仕上げます。
豚の美味しさを決めるのは、血統、餌、長期肥育と言っても過言ではありません。さらに加工技術を加え、熊本黒豚の地位を確立したいと考えています。
300日もの長期肥育を経てたどり着く美味しさ
きめ細かな肉質、
融点の低い甘い脂
豚を長く飼えば、それだけ餌代も人の手もかかります。
一般的な豚が約6か月で出荷を迎えるなか、球磨の黒豚はその倍近い、約300日をかけて育てます。
そこまで時間をかけるのは、美味しさの追求にあります。長期肥育によりきめ細かく、繊維質の柔らかな赤身を狙います。次に脂。脂の融点は28℃という低さ。口の中でスッと溶けていきます。脂身は、驚くほどにあっさりで、コクのある甘みを楽しめます。これは格別です。乳酸発酵させたパンくずを取り入れた独自飼料が決め手です。さらに飼育環境には、堆肥や木くず、米ぬか、もみ殻などを混ぜた「発酵床」を採用。土の上に近い環境をつくることで、豚ができるだけストレスなく過ごせるよう工夫しています。
甘い脂と、柔らかく旨みのある赤身は、球磨の黒豚の真骨頂です。
祖父の時代から3代続く豚の生産 渡辺バークシャーから学んだこと
球磨の黒豚を語るうえで、もう一つ知ってほしいことがあります。
鹿児島を中心に純粋黒豚を守ってきた「渡辺バークシャー」と、人吉球磨との関係です。
渡辺バークシャーを率いた渡辺 近男氏は、鹿児島伝統の黒豚を現代に復活させ、その美味しさと血統を守り、全国にその名を知らしめた名高い生産者です。
餌の内容や飼育環境の違いもさることながら、血統の力による肉質と味わいに驚かされます。
その黒豚づくりは鹿児島だけで完結していたわけではなく、熊本、宮崎へと生産農家のネットワークを広げ支えられていました。人吉球磨もまた大切な拠点のひとつ。
「効率だけを追うのではなく、豚を美味しくするために必要な時間をかける」という、根幹の考え方が、今も大切に受け継がれています。そして今「球磨の黒豚」として、自らの力でもその美味しさを伝えていこうとしています。
まずは「とんかつ」で食べてほしい
球磨の黒豚を初めて食べるなら、まずはとんかつで。 人吉に構える直営のレストランでも一番の看板はとんかつです。特別に3cm厚のロース肉をご用意しました。料理としては非常にシンプルですが、そのぶん豚肉そのものの味が隠せません。 最初の一皿にはロースのとんかつをおすすめします。 まずは、そのまま。次に少し塩をつけて。ソースをたっぷりかけるのは、そのあとに。 約1年かけて育てた黒豚とはどんな肉なのか。その答えを、まずはとんかつで確かめてほしいと思います。
部位別にその美味しさを提案したい
今回バラやヒレもご用意しました。ヒレは柔らかですから、カツサンドで楽しんでいただきたいです。バラは煮込みはもちろんですが、自宅でカットしサムギョプサルもお勧めです。自宅で薄切りにすれば手軽に焼き肉が楽しめますので、まずは素材そのものを味わっていただき、次は「調理」をお楽しみください。今回は都内の飲食店とコラボし、バラ肉で特別に豚肉料理を作っていただきます。そちらも是非楽しみにお待ちください。(11月に販売予定)
豚の生産と加工拠点を持つ強みを活かし、豚の美味しさを伝えたい
球磨の黒豚には、もう一つ大きな強みがあります。自分たちで豚を育てるだけでなく、その肉を加工できる拠点を持っていることです。実は2021年、熊本豪雨災害が人吉を襲いました。その際、時代にあわせて舵を切ろうと、球磨の黒豚は製造拠点を確保しました。自らのブランドで売る、それを目標に活動しているところです。
球磨の黒豚を手土産品としても選んでいただけるよう、ただいま常温の加工品も開発中です。宮崎の鶏の炭火焼からヒントを得たものです。こちらは、くまもとモンジャックというイベントでも登場予定です。
ぜひ人吉を訪れた際は、球磨の黒豚の直営店でおいしい豚肉料理を楽しんでください。
(株)食文化 川口











