茨城県で希少品種の栽培に挑む
Yamazaru農園のぶどう
ぶどうに惚れ込んだ岩本滉平さん
茨城県神栖市で珍しいぶどうを栽培している「Yamazaru農園」。 茨城県ではぶどう農家がほとんどいないなか 、「ほほえみネオ」や「富士の輝き」などの珍しい品種を10種類ほど栽培しています。栽培を担当する岩本滉平さんは、大学卒業後の2022年からぶどうの栽培を始めました。滉平さんは1998年生まれのまだまだ若い農家です。大学で果樹や作物の基礎を学び魅力を感じていたものの、実家がニンニク農家だったこともあり、まずはピーマン栽培の農業法人で病害虫防除や土作り、施肥設計などの修行を行いました。しかしピーマンには強く惹かれず、志村葡萄直売所や深谷果樹園を訪れた際に出会った「富士の輝き」と「ほほえみ」の、今までとは全く違う味のぶどうに強く感動し、「これがやりたい、これしかない」と決意し、ピーマン農家をやめて実家に戻り、ぶどう栽培を開始しました。
自ら学び実践する、
自然に近い状態の土づくり
インターネット上に多様な情報が溢れる中、特に「富士の輝き」の花芽がつかない問題に直面した際には、志村ぶどう研究所や深谷果樹園へ直接話を聞きに行きました。特に深谷さんからは親身なアドバイスを受け、伝統的な長梢剪定と短梢剪定を組み合わせる手法を学び、それを自身の園地に合わせた形に噛み砕いて実践へと落とし込んでいます。また、野菜栽培で知られる「菌ちゃん農法(土壌を森の環境に近づける手法)」も参考にしています。
もともと田んぼだった土地のため地植えでは浸水・根腐れが発生し、当初導入した400Lルートラップポットでも3年目に根詰まりを起こしました。さらに「富士の輝き」において、根詰まりと短梢剪定のみの仕立てが原因で花が咲かないという課題に直面。そこで、父とともに鉄板で囲う「高上げ根域制限栽培」を考案しました。
底部に剪定枝や山で朽ちた切り株を並べ、山の真砂土・植物性堆肥・腐葉土を混ぜ込むことで、土壌環境を限りなく自然近い「山の環境」を再現しました。また、枝の込み具合に応じて長梢剪定と短梢剪定を使い分けるハイブリッドな剪定方法を確立し、高品質な「富士の輝き」ができるようになりました。本業が建築関係ということもあり、こういった囲いやハウスを建てるのはお手の物。かなりのスピードで改良を重ね、4年目にしてほほえみネオだけで約400房も収穫できるまでになりました。
個性際立つ、希少品種の栽培に挑む
茨城県のYamazaru農園で栽培している「ほほえみネオ」は、市場に出回らない希少品種。晩生種で、志村葡萄研究所で開発された次世代のシャインマスカットとも期待されている品種「ほほえみ」をさらに改良した品種。粒の先端が赤くなるのが特徴で、可憐な花を思わせる華やかな香りと、しっかりした甘さとほのかな酸味があり、種なしで皮ごと食べられます。サクッとした食感が一粒また一粒と口に運びたくなるおいしさです。
「富士の輝き」は、別名ブラックシャインマスカットと呼ばれ、大房で粒も大きく濃厚な甘みが特徴。近年、人気の黒ブドウの新品種です。果皮が淡いピンクのような色でバラの香りを思わせる芳醇な香りの「ヌーベルローズ」、海外で絶大な人気を誇り国内では入手困難な「サファイアブラック」など、10種類以上の品種を育てています。親子で取り組む小規模な農家だからこそ、丁寧な手仕事と妥協のない味を追求されています。また、幻の品種「ジャスミン」にも挑戦する予定で、出来上がりに期待です。
次々にお客様がやってくる直売所
「他と同じではつまらない」、「やるからには妥協せずに、本当においしいものだけを出す」という思いで、日々新しい品種などを取り寄せ、腕利きの農家さんに足を運び、試行錯誤しながら、研究し、栽培をしています。直売所には、次々とお客様が来店し、富士の輝きは売り切れるほどです。お二人ともぶどうの話をしている時、すごく楽しそうなのがとても伝わってきた取材でした。ぶどうに魅了されたYamazaru農園の希少なぶどうを是非お楽しみください。











